私は昭和57年(1982年)の秋に、当時小学校2年生だった長男の「正登」を、ウイルス性脳炎という病気で亡くしました。いまもって信じられないほど、あっという間の出来事でした。それまでの私は、仕事のことしか頭にありませんでしたから、家族との生活の場は相当おろそかになっていたと思います。正登が亡くなって、「あの子は、お父さんを求めていた」と妻から聞かされ愕然としました。そして、人の親としてあの子に何もしてやれなかったことを、つくづく悔やみましたが、後悔は先に立ちません。今だに正登には、本当に申し訳ないことをしてしまったと心で詫びている毎日です。このような出来事が背景にあって、この川野小児医学奨学財団が設立されました。申すまでもなく、子供たちの無邪気な笑顔や素直な動作が世の中を明るくし、わたくしたちの大人の心を和ませてくれます。また、わが国や世界の将来を担ってくれるのも同じ子供たちです。 その掛替えのない大切な子供たちが、明るくすこやかに成長してくれることは、親だけでなく等しくみんなの願いです。生活水準の向上、医学・医療の進歩と共に、子供たちの健康も増進されましたが、時には「正登」のようなことも起こります。このような不幸な子供を少しでもなくすことが当財団の大きな目的です。関係各位のご協力を仰ぎながら、一年一年と実績を積み重ねてまいります。皆様方のあたたかいご指導とご支援を、よろしくお願いいたします。