ドクターによる子どもの健康お役立ち情報

肌のシミやしわ、生活習慣病、さらには認知症やがんまで
―― その背景には「体のサビ=酸化現象」が関わっていることをご存じですか?

今回は赤坂ファミリークリニックの伊藤明子先生に、酸化が体に与える影響や毎日の生活でできる酸化予防の工夫、酸化を防ぐおすすめ食材についてお聞きしました。
伊藤先生おすすめのスーパーフード“ごま”を使ったお手軽抗酸化レシピもご紹介します。

伊藤 明子先生

赤坂ファミリークリニック

小児科医。日本公衆衛生学会認定社会医学系専門医。同時通訳者。
一般診療に加え、栄養・食事療法、ストレス管理、発達特性のある子どもたちの診療も行う。2児の母。

生まれた瞬間から体はサビていく

体のサビとは「酸化現象」のこと。
地球上で生きているかぎり、呼吸によって体に取り込まれる酸素と降り注ぐ太陽の光や熱の影響で、必ず起こる現象です。

例えば、ピカピカ光る釘が時間とともに茶色くサビていくのも、リンゴを切って置いておくと茶色く変色するのも酸化によるもの。
じつは私たちの体内でも毎日、これらと同様の現象が起きています。
誰も酸化から逃れることはできません。

だからといって、すぐに特定の症状が現れるわけではありません。
酸化は大抵、じわじわと体の細胞をサビつかせ、劣化させていきます。
酸化は誰にでも起こることですが、そのスピードには個人差があり、進行の速い人と遅い人がいます。

体のサビが進む=病気のリスクが高まる!?

酸化は老化を加速させ、肌のシミやしわだけでなく、脳梗塞や心筋梗塞、がんなど重大な病気のリスクを高めます
さらに、アトピーやアレルギー、白内障や潰瘍性大腸炎、パーキンソン病など、さまざまな疾患に関与していることもわかっています。

酸化のスピードは、遺伝的体質のほか、生活習慣や睡眠の質、食事の内容、人間関係や環境要因、ストレスの有無によっても変化するといわれています。
毎日の心がけ次第で酸化のスピードを緩やかにすることは可能です。

サビていくスピードは 生活習慣で変えられる!

酸化のスピードを遅らせるには、体の外側と内側、両面の対策が必要です
外側の対策では紫外線ケアが欠かせません。
日焼け止めや帽子、日傘は有効ですが、必要以上に紫外線を避けるとビタミンD不足になるため注意しましょう。

内側の対策ではまず、睡眠を十分にとることが重要です。
睡眠中は体の修復が行われるため、質のよい眠りこそ最高のサビ対策といえます。

また、揚げ物やドーナツなどの甘い物、アルコールやタバコは酸化のスピードを高める要因となるので控えるのが賢明です。
適度な運動や整った生活リズム、バランスの取れた食事など、生活習慣を見直すことで酸化は抑えられます
毎日の選択が体のサビる速度を変えるのです。

<サビをSTOP! 抗酸化生活>

●紫外線から体を守る
日焼け止めや帽子、日傘は有効。ただし、必要以上に避けるとビタミンD不足に

●睡眠は最高の修復タイム
寝不足は酸化を促進します。質のよい睡眠をとることは、非常に効果的なサビ対策です

●揚げ物はできるだけ避ける
揚げ物は体の酸化を進めてしまうので食べすぎは危険。抗酸化力が高い食材を

●お酒・タバコはNG!
タバコは厳禁。アルコールは少しなら健康にいいと思われがちですが、酸化ストレスを強めます

●運動は1 日8,000 歩が目安
ジョギングでなくてもOK 。散歩や階段の上り下りで十分。激しすぎる運動は逆効果

子どものうちからサビ対策!

子どもの体ももちろんサビていきます。
子どもの好きな揚げ物やドーナツなどの甘い物は体の酸化を進める大敵です
まずは食べる頻度を減らしましょう。
特に揚げ物は脳の報酬系を刺激して「もっと欲しい」という気持ちを強め、腸内細菌のバランスを崩す原因にも。
代わりにスチーム調理を取り入れるのがおすすめです。
例えば、ささみをフライパンでオイル蒸しにすると、ふっくらジューシーな仕上がりに。
最後にソースやドレッシングで味に変化をつければ、子どもも満足できるでしょう。

子どものうちからサビ対策をしておくことで、老化速度や病気のリスクが抑えられます。
「早寝・早起き・朝ごはん」を基本に、家族ぐるみでサビを防ぐ生活習慣を取り入れましょう。

毎日の食事でサビを防ぐ

手軽にサビを防ぐには、毎日の食卓に抗酸化作用のある食材を取り入れるのがおすすめです
スパイスやハーブ、例えばシナモンやオレガノ、タイムは、特に抗酸化力が高い食材。
果物ではラズベリーやブルーベリーなどのベリー類が優れています。
生のベリーが手に入らない場合は冷凍でもOK。

さらに、わさび、しそ、ミョウガ、ネギなどの薬味、ブロッコリースプラウトなどもおすすめです。
ブロッコリースプラウトは週3 回ほど食べるだけで抗酸化効果が期待できます。
加えて、ごぼうのように食物繊維が豊富な食材も腸内環境を整え、酸化防止に役立ちます。

取り入れやすい お手軽食材“すりごま”

手に入りやすく、値頃な食材“ごま”。
ごまは、セサミンをはじめとするゴマリグナン成分を含む強力な抗酸化食材です
さらに必須脂肪酸やたんぱく質、カルシウムや亜鉛などのミネラルも豊富なスーパーフード。
毎日取り入れるなら、粒のままのごまより消化吸収のよい“すりごま” を選びましょう
パックに入った市販のすりごまで十分です。
和食や洋食、中華などさまざまな料理のほか、おやつにも使いやすく、子どもの離乳食にも生後6 カ月頃から使うことができます。

毎日大さじ2 杯のすりごまを

すりごまは日常の料理に手軽に取り入れられる万能スーパーフードです。
一日の推奨摂取量は大人も子どもも大さじ2 杯。
ふりかけのように料理の最後にさっと振りかけるだけで、料理の味の邪魔をせずに栄養価を高めることができます。
ヨーグルトや味噌汁に加えれば、香ばしい風味も増しておいしさアップ。
ごま油やねりごまも、ごまの栄養が豊富なので、カロリーに注意すれば合わせて取り入れてもOKです。
子どもから大人まで取り入れやすく、毎日の習慣にすることで体のサビを防ぐ「すりごま習慣」
毎日コツコツ振りかけて、健康維持に役立ててください。

パパッと和えるだけ!お手軽抗酸化レシピ ブロッコリースプラウトと桜エビのごま和え

材料(2 人分)
ブロッコリースプラウト …… 1 パック
桜エビ(乾燥) …… 大さじ2
すりごま …… 大さじ2
減塩しょうゆ …… 小さじ1
ごま油 …… 小さじ1

作り方
1. ブロッコリースプラウトを洗う。
2. ボウルにブロッコリースプラウトと桜エビを入れる。
3. すりごま・減塩しょうゆ・ごま油を加えて和える。
4. 器に盛って完成。

ブロッコリースプラウトには抗酸化力の強い「スルフォラファン」が、桜エビにはカルシウムがたっぷり。
さらに、桜エビのピンク色はアスタキサンチンというポリフェノールで抗酸化力が高いです。
これにすりごまを合わせれば、栄養満点な一品に。

インタビュー実施日|2025年8月28日
取材・執筆協力|石川美香子
イラスト|中山信一